NXP、セキュアなエッジを実現する2つの業界初のマルチコアCortex-M33ソリューションを発表

NXP、セキュアなエッジを実現する2つの業界初のマルチコアCortex-M33ソリューションを発表

ハイライ

  • 新プラットフォームはセキュリティ・サブシステムとソフトウェア・エコシステムを統合し、比類ないセキュリティ機能への開発者のアクセスを可能にするSEEを提供
  • 100MHz動作のArm® Cortex®-M33をベースとするLPC5500シングル/デュアルコア・マイクロコントローラ(MCU)は40nmフラッシュ技術を採用し、広範なインダストリアル/IoTエッジ・アプリケーションに最適
  • 28nm FD-SOI技術を採用したi.MX RT600クロスオーバー・プロセッサは最大300/600MHzのArm Cortex-M33/デジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)コアを搭載し、超低消費電力エッジ・プロセッシング・アプリケーションの高性能ボイス/オーディオ機能に最適

NXP Semiconductors N.V.は信頼性、プライバシー、機密性のレベル向上のためにセキュリティ強化サブシステムとソフトウェアをSEE(Secure Execution Environment:セキュアな実行環境)に統合し、セキュアなIoTエッジ・デバイスとクラウド・エッジ間接続を実現しました。新製品であるCortex-M33をベースとするLPC5500マイクロコントローラi.MX RT600クロスオーバー・プロセッサは、新しいセキュリティ機能と性能を最大の特長としています。

組み込みシステム・セキュリティに対する多層アプローチ

NXPは長年蓄積したセキュリティに関するノウハウを活用し、業界で唯一の多層かつハードウェアベースの保護スキームを提供しています。この多層セキュリティ・アプローチは物理的ランタイム保護に極めて重要で、以下の機能により組み込みシステムを保護します。

  • 不変のハードウェアベース「root-of-trust」のためのセキュア・ブート
  • 認証ベースのセキュアなデバッグ認証
  • リアルタイムのレイテンシー・フリーな復号化を備えた暗号化済みオンチップ・ファームウェア・ストレージ

これらの機能と、Armv8-Mに基づくArm TrustZone®を搭載した拡張版のArm Cortex-M33コア、メモリ保護ユニット(MPU)を組み合わせ、リソースやデータに対する特権ベース・アクセス向けのハードウェアベース・メモリ・マップ分離により物理的ランタイム保護を確保します。

NXPの上席副社長兼マイクロコントローラ担当ゼネラル・マネージャーのGeoff Leesは、次のようにコメントしています。「IoTにより、コネクテッド・ワールドの可能性は驚くべき広がりを見せています。セキュリティとプロセッシングに関する深い専門知識、ソフトウェア・エコシステム、広範なポートフォリオを通じ、NXPはIoTセキュリティ分野の革新的で利用しやすい先進技術をすべての開発者に提供する上でユニークな地位を確立しています」。

ユニークなセキュリティ機能の強化

デバイスの信頼性確立の基礎となっているのが、デバイス固有の鍵を使用して不変のハードウェア「root-of-trust」を生成するNXPのROMベース・セキュア・ブート・プロセスです。SRAMビットセルに固有の自然変動を使用するSRAMベースPhysically Unclonable Function(PUF)により、こうした鍵をオンデマンドでローカルに生成できます。これにより、エンドユーザーとOEM企業間のクローズド・ループ・トランザクションが可能になり、セキュアでない可能性のある環境で第三者による鍵の処理を阻止します。オプションとして、従来からのヒューズベースの方法による鍵注入が可能です。

さらに、NXPのSEEはSRAM PUFを画期的に採用することでデバイス固有の秘密鍵を生成し、複数のエッジ間やクラウド・エッジ間の通信向けの対称/非対称暗号化を強化します。公開鍵インフラストラクチャ(PKI)あるいは非対称暗号化のセキュリティは、Trusted Computing Group(TCG)に定義されているように、Device Identity Composition Engine(DICE)セキュリティ規格を通じて強化されています。SRAM PUFはDICEによる要件に対応し、Unique Device Secret(UDS)の機密性を保証します。新ソリューションは非対称暗号化(RSA 1024~4096ビット長、ECC)向けアクセラレーションと、mbed TLS最適化済みライブラリによる最大256ビット対称暗号化/ハッシング(AES-256/SHA2-256)をサポートします。

Armのエンベデッドおよびオートモーティブ・ライン担当バイス・プレジデント兼ゼネラル・マネージャーのJohn Ronco氏は、次のようにコメントしています。「コネクテッド・デバイスの爆発的増加を継続させるためには、こうしたデバイスにおけるユーザー・トラストの強化が必要です。コネクテッド・デバイスのセキュリティ確保に対するNXPのコミットメントは、TrustZone技術の実績あるセキュアな基盤に基づくとともに、ArmのPlatform Security Architecture(PSA)の設計原理を採用し、Cortex-M性能効率の可能性を拡げるNXPの新Cortex-M33ベース製品からも明白です」。

機械学習/DSPコンピューティング性能を加速

NXPはArm v8-Mアーキテクチャの初のフル機能実装を活用するためにCortex-M33を戦略的に選択し、セキュリティ・プラットフォームの利点を提供するとともに、既存のCortex-M3/M0 MCUに対する大幅な性能向上(それぞれ15%超~65%の向上)を実現しました。Cortex-M33の主要機能の1つは専用コプロセッサ・インターフェースで、密接合コプロセッサの効率的な統合とフル・エコシステムとツールチェーンの互換性維持を可能にしながらも、CPUのプロセッシング機能を拡張します。NXPは畳み込み、相関、行列演算、伝達関数、フィルタリングなどの主要ML/DSP機能を加速するコプロセッサを実装するためにこうした機能を活用し、Cortex-M33上での通常の実行に比べ、10倍もの性能向上を実現しました。コプロセッサはさらに、カスタマー・コード・ポータビリティを簡素化するため、定評あるCMSIS-DSPライブラリ・コール(API)を活用しています。

LPC5500プラットフォーム:インダストリアル/IoTエッジ・アプリケーション向けのマルチコアCortex-M33 MCU

DC/DCコンバータ内蔵のシングル/デュアルコアCortex-M33は最大90 CoreMark/mAという超低消費電力で、業界をリードする性能を提供します。最大640KBのフラッシュと320KB SRAMの高集積オンチップ・メモリは、複雑なエッジ・アプリケーションの高効率実行を可能にします。さらに、ユーザー定義タスクのオフロードと実行のためのNXPの自動プログラマブル・ロジック・ユニットは、拡張リアルタイム並列処理機能を提供します。LPC5500シリーズの詳細については、日本語プレスリリースをご覧ください。

i.MX RT600クロスオーバー・プラットフォーム:リアルタイム機械学習(ML)/人工知能(AI)アプリケーション向けに消費電力を最適化したCortex-M33 / DSP MCU

i.MX RT600シリーズは、広い動作電圧/性能範囲、最大300MHzのCortex®-M33、最大600MHzのCadence® Tensilica® HiFi 4 DSP、最大4.5MBの共有オンチップSRAMを搭載し、高効率ローカル・オーディオ・プリプロセッシング、イマ―シブな(没入型)3Dオーディオ再生、音声対応エクスペリエンスを可能にします。ML性能は4個の32ビットMAC、ベクターFPU、256ビット・ワイド・アクセス・バスのほか、専用活性化関数(ジグモイド伝達関数など)向けのDSP拡張により、DSP内部でさらに強化されています。i.MX RT600シリーズの詳細については、日本語プレスリリースをご覧ください。

Dover CoreGuard:ハードウェアベースの防御によるセキュリティ

NXPはDover MicrosystemsのCoreGuard技術を将来のプラットフォームに組み込むため、同社と提携しました。CoreGuardは事前設定済みセキュリティ・ルールを侵害するインストラクションを即座にブロックするハードウェアベースのアクティブ防御セキュリティIPで、ソフトウェア脆弱性とネットワークベース攻撃に対する組み込みプロセッサの防御を可能にします。詳細については、英語プレスリリースをご覧ください。

NXP、Arm TechConとIoT Solutions World Congressに出展

NXPは10月16日から18日まで米カリフォルニア州サンノゼで開催されるArm TechConのNXPブース(ブース番号:620)に最新のエッジ・コンピューティング・ソリューションを出展します。また、10月16日から18日までスペインのバルセロナで開催されるIoT Solutions World CongressのNXPブース(Gran Via、パビリオン2、レベル0、ストリートB、ブース261)で、ML向けインダストリアルIoTソリューションのデモを実施します。

NXP Semiconductorsについて

NXP Semiconductorsは、よりスマートな世界を実現するセキュア・コネクションとセキュア・インフラを可能にし、人々の生活をより便利に、より良く、より安全にするソリューションを推進しています。組み込みアプリケーション向けのセキュアなコネクティビティ・ソリューションで世界をリードするNXPは、セキュアなコネクテッド・ビークル、エンド・ツー・エンドのセキュリティ/プライバシー、スマートなコネクテッド・ソリューションの市場における技術革新をけん引しています。60年以上にわたって蓄積した経験と技術を活かし、NXPでは世界30か国強で3万名を超える従業員が活動しています。2017年の売上高は92.6億米ドルでした。詳細はWebサイトhttp://www.nxp.com/jp/ (日本語)をご覧ください。

NXPジャパンはNXP Semiconductorsが開発および製造する車載、認証、インフラ/産業機器、コンシューマ向けのハイパフォーマンス・ミックスドシグナル製品やプロセッシング・ソリューション、高出力RF製品などを日本市場に提供しています。本社は東京都渋谷区で、大阪および名古屋に営業所があります。

NXP、NXPロゴはNXP B.Vの商標です。他の製品名、サービス名は、それぞれの所有者の商標です。Arm、Cortex、TrustZoneはEUおよびその他の国におけるArm Ltdまたは子会社の商標または登録商標です。All rights reserved. © 2018 NXP B.V.

リリース日

2018年10月15日

お問い合わせ

増田 清美

Tel: 050-3823-7031

kiyomi.masuda@nxp.com